自分の財産の相続を考えたときに、例えば、「こだわって建てた家でとても思い入れがあるから、私が亡くなった後少なくとも10年間は管理してほしい」とか、「私が亡くなったあともペットの面倒をみてもらいたい」といったご希望をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
相続で希望を叶える方法
このように、財産を渡す見返りとして、財産を受け取る者(「受贈者」といいます)に一定の義務を負担してもらう遺贈のことを「負担付遺贈」と言います。
「遺贈」は、「相続人以外に財産をあげる方法」でも述べたとおり、法定相続人以外の人に自分の財産を相続させたい場合に使う手続ですが、遺贈だけではなく、相続(法定相続人に遺産を渡すこと)の場合でも同じように財産を受け取る者に義務を負わせることは可能です。
受贈者にきちんと義務を果たしてもらえるのか?
ここでひとつ心配なのは、受贈者がきちんと義務を果たしてくれるか、という点です。
というのも、遺言書は遺言を遺したい方の意思のみで作成することができるため、遺言書を作成するときに受贈者の同意をもらう必要がないからです。
そのため、遺言を遺した方が亡くなられた後、負担付遺贈の受贈者が、財産だけもらって義務を果たさない、という事態が起こり得ます。
ですが、この場合には、民法の規定にもとづいて、相続人から受贈者に対し、義務をきちんと果たすよう請求することができます。
(民法第1027条)
負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
相続人からの請求があったにもかかわらず受贈者が義務を果たさないときには、上記の条文にもあるとおり、相続人は家庭裁判所に対し、負担付遺贈の部分について遺言の取消の申立をすることができます。
家庭裁判所で遺言書の取り消しが認められると、負担付遺贈の対象となっていた財産については、相続人全員で話し合いをして遺産分割をすることになります。
なお、受贈者は遺贈を受けずにその財産を放棄することもできるため、負担付遺贈をする場合には、可能であれば受贈者に予め話をしておいた方がよいでしょう。
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