相続[そうぞく]
亡くなった人が残した財産を、家族や親族に継承させるための制度。
「相続は死亡によって開始する。」(民法第882条)
相続財産(遺産)[そうぞくざいさん(いさん)]
被相続人が亡くなった時点で残した財産のこと。
被相続人[ひそうぞくにん] 
財産を残して亡くなった人のこと。

相続人

相続人[そうぞくにん] 
被相続人の財産を継承する人のこと。
推定相続人[すいていそうぞくにん] 
ある人が亡くなった時点で相続人となるべき人のこと。
法定相続人[ほうていそうぞくにん]
民法が定める相続人となるべき人のこと。
「被相続人の子は、相続人となる。」(民法887条1項)
「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。」(民法890条)
直系尊属[ちょっけいそんぞく]
直系の関係にある尊属。父母、祖父母、曾祖父母、養父母。
「次に掲げる者は、(中略)次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
 一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」(民法889条1項)
直系卑属[ちょっけいひぞく] 
直系の関係にある卑属。子、孫、曾孫など。
嫡出子[ちゃくしゅつし]
法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子。⇔非嫡出子
非嫡出子[ひちゃくしゅつし]
「子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、(中略)ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の二分の一とし、(後略)」(民法900条4)
代襲相続[だいしゅうそうぞく]
被相続人が亡くなる前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が亡くなっている、または廃除された、あるいは欠格事由があり相続権を失ったとき、その人の直系卑属(兄弟姉妹の場合はその子に限る)がその人に代わって相続すること。
「被相続人の子が、相続開始以前に死亡したとき、(中略)その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。」(民法887条2項)    
共同相続[きょうどうそうぞく]
相続人が数人いること。相続財産はいったん全員の共有財産となる。
「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を継承する。」(民法899条)

相続人資格の喪失

相続欠格[そうぞくけっかく]
相続に関して不正な利益を得ようとして不正な行為をした、もしくはしようとした人から相続人資格を剥奪する制度。
「次に掲げる者は相続人となることができない。 
一 故意に被相続人又は相続人について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ(後略)」(民法891条1号)
廃除[はいじょ]
被相続人からみてその人に相続させたくないと考えるような非行があった場合被相続人の請求に基づいて家庭裁判所が審判か調停によって、相続権を剥奪する制度。(民法892条、893条)

相続分

相続分[そうぞくぶん]
数人の相続人が共同で遺産を継承する場合の、各相続人の継承する割合のこと。
指定相続分[していそうぞくぶん]
被相続人が遺言により、自ら指定するか、または第三者に委託して定める相続分のこと。
「被相続人は、(中略)共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。(後略)」(民法902条1項)
法定相続分[ほうていそうぞくぶん] 
民法の規定により定められている相続分。被相続人が相続分を指定しない場合に適用される。「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。」(民法900条1号)
特別受益[とくべつじゅえき]
共同相続人の中のある相続人が、被相続人から受けた遺贈、または婚姻、養子縁組のため、もしくは生計の資本として受けた生前贈与のこと。
相続人間の公平を図るために、相続分の算定上考慮される。
「(前略)被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、(中略)相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」(民法903条1項)    
寄与分[きよぶん]
共同相続人の中で、被相続人に労務提供や療養看護など、財産の維持または形成に特別の寄与・貢献をした人がいた場合、その人の法定相続分に付加される相続分。(民法904条の2)

相続放棄

相続放棄[そうぞくほうき]
相続開始後に、相続人が相続の効果を自己に帰属させない旨の意思表示をすること。
相続開始、もしくは自分が相続人だと知った時から3ヵ月以内に、家庭裁判所に申立てなければならない。(民法938条~940条)
単純承認[たんじゅんしょうにん]
相続人が財産も負債もすべて継承するという無条件の相続の方法。被相続人の債務についても無限責任を負うことになる。(民法920条、921条)
限定承認[げんていしょうにん]
相続により継承する負債が、相続によって得る財産よりも多いときには、その財産で弁済しうる分だけを弁済する、という留保を付けた相続の承認。
「相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。」(民法924条) 

遺言書の種類

自筆証書遺言[じひつしょうしょゆいごん] 
遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することによって成立する遺言。証人・立会人は不要。(民法968条)
公正証書遺言[こうせいしょうしょゆいごん] 
二人以上の証人の立会いのもと、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記して遺言者および証人に読み聞かせ、または、閲覧させて、遺言者および証人が筆記の正確なことを確認する。
その後、各自がこれに署名押印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印する方式をとる遺言。(民法969条)
秘密証書遺言[ひみつしょうしょゆいごん]
遺言者が筆記しまたは第三者に筆記してもらった遺言書に遺言者が署名押印し、その証書を封じて証書に用いた印章で封印する。
公証人1人および証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨、また遺言書が他人によって書かれているときは、筆記者の氏名住所を申述する。
公証人が証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載し、最後に遺言者、証人、公証人が封紙に署名押印するという方式の遺言。(民法970条~972条)

遺留分

遺留分[いりゅうぶん]
被相続人の一定の近親者に留保された相続財産の一定の割合のこと。
被相続人の生前処分または死因処分によって奪うことのできないもののこと。
遺留分権利者は、配偶者、子、直系尊属である。(民法1028条)
 
遺留分減殺請求[いりゅうぶんげんさいせいきゅう]
遺留分権利者が現実に受けた財産が、遺留分を侵害する遺贈または贈与の結果、遺留分に満たないときに、遺留分権利者およびその継承人が、遺留分を保全するのに必要な限度で、その遺贈および贈与の減殺を請求する権利。(民法1031条)
遺贈[いぞう]
遺言により、遺言者財産の全部または一部を無償で譲ること。
「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。」(民法964条)