遺言書を作成するには、内容を考えたり、公証役場と打ち合わせをしたり、とある程度時間を要するものです。
遺言書を作成する準備をしている中で、急に遺言者が体調を崩し、お医者様に診てもらったところ余命いくばくもない、という診断が下されたとしたらどうしたらいいでしょうか。
遺言書の作成準備中に遺言者が体調を崩したら、どうしたらよいのか
このような、遺言書の準備段階で急に重篤な病気になってしまったようなときに使える「一般危急時遺言」という制度があります。当事務所でも、遺言者の入院先の病院に伺い手続をしたことがあります。
この一般危急時遺言については、民法976条1項に規定があります。
(民法976条1項)
疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。
一般危機遺言を作成するときの条件は?
一般危急遺言を作成する条件について見ていきます。
一般危急時遺言の条件①-遺言者が死亡の危急に迫られていること
遺言者が病気や事故などにより命の危険が迫っている状況であったり、余命いくばくもなくすぐに遺言を作成しなければ亡くなってしまう危険がある状況であったりすることが必要です。
一般危急時遺言の条件②-証人3人以上の立ち会いがあること
証人は誰でもなれるというものではありません。
証人になることができない人がおり、これを「欠格者」といいます。
欠格者は民法に定めがあります。
(民法974条)
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
未成年者
推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
証人には、これら欠格者以外の人を選ぶ必要があります。
一般危急時遺言の条件③-遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口授すること
遺言者が遺言の内容を証人の1人に対し、口頭で伝えます。
一般危急時遺言の条件④-口授を受けた証人がその内容を筆記すること
遺言者から口頭で遺言の内容を聞いた証人は、その内容を文章にします。
一般危急時遺言の条件⑤-筆記した内容を遺言者と他の証人に読み聞かせまたは閲覧させること
証人が文章に起こした内容が遺言者が話した遺言の内容と相違がないか、遺言者と他の証人に文章の内容に目を通して確認してもらいます。
一般危急時遺言の条件⑥-証人全員が署名押印すること
文書の内容が遺言者の話した内容と相違ないことが確認できたら、証人全員が遺言者の面前で署名押印します。このとき、実印を押すという規定はありませんので、認印でも差し支えありません。
以上の要件を満たせば一般危急時遺言を作成することができます。
ただし、「遺言の日から20日以内に、証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。」という規定が民法976条3項にありますので、期限内に家庭裁判所で確認を得る必要があることに注意が必要です。
弁護士にご相談ください
一般危急時遺言の作成には専門的な知識が必要です。
遺言書作成でお困りの方はぜひ一度当事務所まで
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