遺留分の請求を配達証明付きの内容証明郵便で送っても、何のリアクションもないことが多くあります。
理由としては、遺留分の請求書を受け取った相手方が、弁護士から様子を見るようにと言われたため、何もリアクションを取らないということが考えられます。
相手方の無反応をそのままにしておくと、回収をすることができません。
よって、こちらもさらなる回収の手続をとることが必要です。
遺留分の返還を求める調停を起こすか、遺留分の返還を求める裁判を起こすかという2つの方法があります。
遺留分の返還を求める調停
メリット
- 本人でも申立ができる
調停は、弁護士でなくては申し立てができないものではありません。
離婚などは弁護士に依頼せず、本人が自ら申立をする事件が多くみられます。
- 相手との信頼関係を保つことができる
調停は裁判と違い、話し合いの手続ですので、裁判と比べると感情面の軋轢は小さいと思われます。
以前、こんな事件の依頼を受けたことがあります。
被相続人である親が、長男に全て遺産を相続させるという遺言を遺しました。
そこで被相続人の娘である姉妹から遺留分の返還請求の依頼を受けました。
私は、姉妹側の代理人として、調停で長男に遺留分の返還請求をしました。
最後には姉妹が兄に「ごめんね」と泣きながら謝罪し、兄が「いいんだよ」と応じて、円満に調停で解決ができました。
レアケースかもしれませんが、裁判であればこのような結末にはならなかったでしょう。
デメリット
- 申立に必要な書面を収集するのが大変である
申立に際し、戸籍を収集したり書面を集めたりする必要があります。
特に、相続人が多数に渡っているときは、戸籍の量も膨大となります。
さらに、どの戸籍をどのように取ってよいかわからず、途方に暮れてしまうでしょう。
- 決着がつかない
調停は話し合いの手続なので、相手方が話し合いや裁判所の説得に応じない場合、結局決着がつかなかった、ということもよくあります。
遺留分の支払いを求める調停は、相手方にとっては、遺産分割のように自身が持ち分を得られるわけではないので、相手方が支払いを拒み、調停の成立に至らないことがしばしばあります。
遺留分の返還を求める裁判
メリット
- 必ず決着がつく
遺留分の裁判は必ず決着がつく手続きです。
調停の場合、相手方が紛争解決に同意しないと手続きは終了となってしまいますが、裁判は、相手方が紛争解決に積極的でなくても、裁判所が結論を出してくれます。
- 法律通りの額で遺留分を得られることが多い
調停は話し合いの手続なので、解決にあたって一定の譲歩が必要となってくることがあります。
もっとも、譲歩した方が円満に解決できることが多いので、譲歩をすること自体が悪いとは思いません。
しかし、裁判では、相手方の主張が法律的に理由があれば一定の譲歩はやむを得ないですが、そうでなければ、何の根拠もなく裁判所から譲歩を迫られることはありません。
つまり、調停よりも法律通りの高額の支払いを得られる可能性が高いです。
デメリット
- 本人が申立をするのは難しい
裁判では、調停と違い、申立書面やその後提出する書面(準備書面)に、裁判で必要とされる事項をしっかり記載しなくてはなりません。
裁判は、厳格に書面や添付書類の様式が決められているので、弁護士に頼まず自身でやるのはとても難しいです。
司法書士の先生であれば160万円以下の遺留分請求の裁判はできることになりますが、実際に遺留分の支払いを求める裁判をしているところは見たことがありません。
- 相手方と感情面で対立する可能性がある
裁判は、調停に比べて当事者間の対立が激しくなる手続ですので、相手方との感情の軋轢は大きくなると思われます。
ただし、人によっては、調停と裁判といずれも裁判所でする手続きであり、調停の申立てをしたのに「裁判を起こされた」と勘違いしている人も多くいます。
裁判だからといって、相手方の感情を調停以上に逆なですると言い切れるかは微妙なところです。
遺留分の調停、裁判には以上のようなメリット、デメリットがあります。
これらをよく考え、手続の方法を選択していくことになります。
ただ、いずれをとっても、戸籍の収集や書面の作成は簡単ではないので、相続手続きの知識・経験のある弁護士に依頼することをお勧めします。
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