遺留分減殺請求

遺留分減殺の対象となるのは遺産だけでなく、遺贈や相続開始前1年間におこなわれた第三者への贈与、遺留分を侵すことをわかっていながら行われた贈与なども対象となります。

また、このような特別の利益を受けた相続人の相続分が、他の相続人の遺留分を侵害していれば、遺留分減殺請求権を行使される対象となります。

 

遺留分の権利を行使し、取り戻すためには、自分の遺留分が侵害されたことを知ってから1年以内に、遺留分減殺請求書」という書面を遺留分を侵害した相続人、受遺者、受贈者(被相続人から贈与を受けた人)全員に送る必要があります。

意思表示をした証拠を残すためにも、この書面は内容証明郵便で配達証明書を付けて送付することをおすすめします。

 

文面は、「私は○○(被相続人)の遺産相続について遺留分を有しているので、遺留分減殺請求権を行使します」という内容で大丈夫です。

この意思表示が相手に伝われば、法的に遺留分に相当する遺産(価額)は遺留分権利者の所有に属するとみなされ、後は協議や調停等によって取り戻す作業になります。

 

この手続きに関しては、遺留分侵害者とトラブルになることが多いようですので、実際に遺留分減殺請求をするときには、弁護士に委任することをお勧めします。

 

 

遺留分侵害額請求

遺留分を取り戻す方法である「遺留分減殺請求」は、民法の改正により2019年7月1日から「遺留分侵害額請求」と変更されました。

2019年6月30日までに発生した相続に対しては遺留分減殺請求が、2019年7月1日以降に発生した相続については遺留分侵害額請求が適用されることになります。

 

遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違い

遺留分減殺請求と遺留分侵害額請求の違いは、侵害された遺留分を遺産そのものから取り戻すか、金銭の支払いを求めるか、という点にあります。

 

具体的な例をもとに説明いたします。

(例)

被相続人Xが亡くなりました。

Xの遺産は不動産のみで、不動産の価値は5000万円でした。

Xの相続人は子A、Bの2人のみで、Xは自身の遺産全てをAに相続させるという遺言書を残していました。

 

この場合、Bの法定相続分は1/2ですので、Aに対して請求できる遺留分は遺産全体の1/4、金額に換算すると1250万円になります。

 

遺留分減殺請求では、BはAに対し、「Xが所有していた不動産の1/4をください」という請求をすることになります。

遺留分減殺請求が認められると、Xが所有していた不動産の1/4について共有持分を取得します。

 

他方、遺留分侵害額請求では、Aが侵害しているBの遺留分額1250万円を支払ってくれ、という請求をします。

遺留分侵害額請求が認められると、AからBに対し1250万円が支払われることになります。

 

上記の例のように、遺産に不動産がある場合には、遺留分減殺請求が認められると不動産は共有状態となります。

共有状態となった不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です。

賃貸する場合であっても、賃貸期間が短期間であれば共有持分割合の半数以上を有する共有者の同意が必要ですし、賃貸期間が長期にわたる場合には共有者全員の同意が必要になります。

 

このように、遺留分減殺請求では、せっかく遺留分を取得してもその後の権利関係が複雑化してしまうケースが多々あり問題視されていました。

そこで、金銭的な解決を原則とする「遺留分侵害額請求」へ変更されたのです。

なお、遺産が現金や預貯金だけであれば金銭でのやりとりになりますので大きな問題は発生しません。

 

 

遺留分侵害額請求権の時効

遺留分侵害額請求権は、遺留分の侵害を知ってから1年以内に請求しないと時効により権利が消滅します。これは遺留分減殺請求権と同じです。

ただし、遺留分侵害額請求の場合は、遺留分侵害額請求をしてから5年以内に現実に金銭を回収しないと時効にかかってしまうので注意が必要です。

 

 

弁護士に相談を

遺留分減殺請求であっても遺留分侵害額請求であっても、時効が1年と短く早めに対処する必要がありますので、遺留分でお困りの方は早めに専門家に相談することをお薦めします。

 

当事務所では遺留分に関する相談を広くお受けしております。

遺留分でお困りの方は是非一度当事務所にご相談ください。

 

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