遺言の無効を争いたい

 

 

 

(コラム-遺言が無効になる場合)で、遺言が無効になる場合について解説しました。

今回は、遺言を無効としたい場合にどうすればいいか、ということについて触れていきたいと思います。

 

第1段階:遺言無効確認請求訴訟

 

遺言を無効にしたい場合、まずは相続人間で話し合いをすることになります。

 

たとえ遺言書があったとしても、相続人の間で話し合いがまとまれば、その話し合いの内容に基づいて遺産を分けることが可能です。

 

しかし、1人でも話し合いに納得できない相続人がいると遺産を分けることができませんので、この場合には「遺言無効確認請求訴訟」という裁判を起こすことになります。

 

「遺言無効確認請求訴訟」を起こすためには、事前に家庭裁判所に「遺言無効調停」を申し立てなければならない、と法律上規定されています。

 

「調停」とは、ごく簡単に言うと、裁判所を使って話し合いをするという手続です。

 

相続人間ですでに争いがあり、話し合いでは到底解決が見込めないという場合(たいていの場合は話し合いでは解決には至らないでしょう)には、いきなり裁判を起こしてもよいとされています。

 

遺言無効確認請求訴訟は、遺言の無効を主張する人が、他の相続人や受遺者(相続人ではないが、遺言者が「この人にこの財産をあげる」と遺言した場合の財産の受取人)に対して裁判を起こします。

 

裁判の中では、(コラム-遺言が無効になる場合)で触れた内容などを主張していくことになります。

 

例えば、自筆証書遺言の作成日の日付が記載されていない、遺言者の自筆による署名及び捺印がない、書き損じがあった場合に訂正や加筆が正しくなされていない、など、法律で定められた形式が守られていないことや、そもそも遺言者が遺言を残すだけの能力がなかったことなどを主張していくことになるでしょう。

 

 

 

第2段階:遺産分割調停

 

裁判で争った結果、原告の請求が認められた、つまり、遺言は無効である、と裁判所が判断した場合には、相続人間で遺産をどう分けるかについて話し合いを行うこととなります。

 

「遺言無効確認訴訟」はあくまでもその遺言が有効か無効かということについて判断するものであり、この裁判の中では、遺産をどのように分けるか、ということは決めないため、改めて相続人間で遺産分割の話し合いをする必要があるのです。

 

相続人の間で相対での話し合いが難しい場合には、家庭裁判所に「遺産分割調停」という申立をして、遺産をどのように分けるか話し合うこともできます。

 

ここで、「遺言無効確認訴訟」で原告の請求が認められなかった、つまり、遺言は有効である、と裁判所が判断した場合、気を付けなければならないのは遺留分についてです。

 

遺留分とは、一定の相続人が、最低限相続できる割合のことです。

 

※ただし、相続人のうち被相続人の兄弟姉妹については遺留分はありません

 

遺留分は、遺言書よりも優先される権利なので、遺言で受け取ることができる財産が自身の遺留分を下回っている場合には、遺留分の範囲まで取り戻すことが可能です。

 

※ただし、遺留分の請求は請求できる期限が決められていますので、最低限遺留分だけは取得できるように準備しておくことが大事です。

 

 

 

 

 

 

 

遺言無効確認訴訟で遺言の無効を争うには高度な法的知識が必要です。また、遺留分請求に対する備えも必要となります。

 

遺言の無効を争いたいという場合には、早めに弁護士などの専門家に相談し、適切に手続を進めていくことが肝要です。

 

遺言でお困りごとがございましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

 

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