民法改正―遺留分制度の見直し
遺留分制度の見直し
★令和元年7月1日施行
<改正点>
- 遺留分減殺請求として金銭を請求することができるようになる
- 遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備できない場合には、裁判所に対して支払期限の猶予を求めることができるようになる
【改正前】
- 遺留分減殺請求権の行使により共有状態が生じてしまう
<事例>
経営者であった被相続人が、事業を手伝っていた長男に会社の土地建物を、長女に預金を相続させる胸の遺言をして亡くなった。
長女からすれば、本来の法定相続分通りであれば、兄と同じだけの財産が受け取れるはずだったのに、あまりにも差がありすぎる!おかしい!と、納得がいかないことでしょう。
そこで、長女が長男に対して遺留分減殺請求をすると、長女の遺留分侵害額は以下のようになります。
(会社の土地建物評価額+預金額)×2分の1×2分の1-1,234万5,678円=1,854万8,242円
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・・・細かい数字が出てきてしまいましたね。
つまり、この遺留分減殺請求により、会社の土地建物が長男と長女ふたりの複雑な共有状態になってしまうのです。
<会社の土地建物の持分割合>
長男:9,268万1,758 / 1億1,123万
長女:1,854万8,242 / 1億1,123万
このように、会社の建物が複雑な共有状態になってしまうと、事業を承継する際に大きな障害となりかねないのです。
【改正後】
- 遺留分減殺請求権は金銭債権となる
長女の遺留分侵害額を、長男に対して金銭請求することができます。
これにより、遺留分減殺請求権の行使により共有関係が生じてしまうことを回避できます。
また、会社の建物を、会社の経営を手伝っている長男に与えたい!という遺言者の意思を尊重することもできるのです。
<出典>法務省 パンフレット『相続に関するルールが大きく変わります』
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